子どもが自衛隊に入ることが決まって、持ち物をそろえて、ひとつずつ名前を書いて。
準備が終わったあとに、次にやってきたのは「当日、親は何をすればいいんだろう」でした。
車で送るのか。駅まででいいのか。基地の中まで入れるのか。
調べてみても、あまり出てきません。
我が家は令和7年度の入隊で、娘を航空自衛隊に、その2日後に息子を陸上自衛隊に送り出しました。
ただ、家を出たのは3月の終わりです。
4月から始まるつもりでいると、少し慌てるかもしれません。
そして同じ「入隊」なのに、当日の流れは、2人でまったく違いました。
これから送り出す方の、参考になればと思います。
航空自衛隊の教育部隊は、全国に2か所だけ
娘は、航空自衛隊です。
航空自衛隊の場合、入隊してすぐに教育を受ける部隊は、全国に2か所しかありません。
山口県の防府南基地と、埼玉県の熊谷基地です。
娘は、山口県のほうでした。
我が家からは、どう考えても日帰りで送れる距離ではありません。
つまり、前泊です。
新幹線もホテルも、自分で予約して後から精算
ここが、私が一番知りたかったところでした。
乗る新幹線も、泊まるホテルも指定があります。ただし、予約は自分でします。
ホテルは、本人がインターネットで取りました。
「これでいいよね?」と画面を見せられて、私も一緒に確認しました。念のため。
そして、お金は先に払います。
新幹線代もホテル代も、いったんこちらで立て替えて、領収書を持っていくと、後日支払われる形でした。
なので、当日まですこしだけお金が必要になります。ここは、知っておいたほうがいいと思います。
それから、当面の現金。
基地の中にATMはあるそうですが、入ったばかりの頃は忙しくて、それどころではないと聞きました。
自販機で飲み物が買えるくらいの現金は持たせました。あとは、新幹線の中で食べるお昼ごはんも。
ホームまで、見届けてくれました
出発の日。
集合は、JRの駅でした。同じ県から採用された子が何人かいて、そこで合流します。
驚いたのは、ここからです。
地方協力本部の方が、ホームまで来てくださいました。
そして、みんなが新幹線に乗り込むまで、ちゃんと見届けてくださったんです。
さらに、車内には別の自衛官の方が付き添ってくださいました。山口まで、一緒に行ってくださるとのことでした。
何も分からない娘を、遠い県まで送り届けていただける。
正直、ここで少し泣きそうになりました。
なんて手厚いんだろう、と思ったんです。
私が見送れたのは、ホームまででした。
息子は、マイクロバスで
2日後、今度は息子です。
息子は陸上自衛隊で、教育を受ける駐屯地は、車で行ける距離にありました。なので、前泊もありません。
集合場所は、地方協力本部です。そこまで、私が車で送りました。
建物の中で、しばらく待ち時間がありました。
自衛隊の紹介や、訓練の様子のビデオが流れていたと思います。正直なところ、内容はあまり覚えていません。
同じように待っている隊員の方と、そのご家族の様子を、ずっと眺めていました。
そのあと、大きな荷物を持った子たちがマイクロバスに乗り込んで、大勢の見送りの中を出発していきました。
私が見送れたのは、ここまでです。
「ぴえん」と、無言と
同じ「入隊」でも、当日の様子は、きょうだいでずいぶん違いました。
娘は、いつもと同じでした。
集合時間もそれほど早くなかったので、朝も普段通りです。別れ際には、ふざけて「ぴえん」なんて言っていました。
息子は、どこか緊張しているようでした。最後まで、ほとんど何も言いませんでした。
私はというと、2人とも同じように送りました。
「頑張って〜」
笑顔で。
たぶん、それしか言えることがなかったんだと思います。
送り出したその足で、会社へ
見送りのために取った有給は、午前中だけです。
娘のときも、息子のときも、送り届けたその足で職場に向かいました。
そして、車を走らせながら私が考えていたことを、正直に書きます。
「やっほ〜い! ご飯作らなくていいじゃん!」
でした。
自由だ、と思ったんです。
今までやりたくてもできなかった、あれもこれも、これから全部やるぞ、と。
希望と夢に満ちあふれていました。
このあと、空の巣症候群というものがやってくることを、まだ知りませんでした。





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