お盆に、母の実家へ行ってきました。
お墓参りをして、仏壇にお線香をあげて。そのあとのお茶タイムで、こう切り出されました。
「お仏壇を片づけたいのですが、私たちでは手出しができません。ご親族のほうで、お願いできないでしょうか」
誰も住まなくなった家に、仏壇だけが残っていた
母の実家は田舎にあって、昔は商店街もにぎわっていたそうですが、今はすっかりシャッター街です。
世帯主だった叔父が亡くなり、家は奥さんが相続しました。ただ、その奥さんも高齢で、今は施設に入っています。
相続をめぐっては、いろいろあったようです。相続した方とは、今は連絡が取れなくなってしまったらしく…
そして今、この家を見てくださっているのは、奥さんの弟さん夫婦なんです。
「赤の他人が、ご先祖様を処分するわけにはいかない」
弟さん夫婦は、家や土地のことなら進められる立場にあります。でも、仏壇だけは別なんだそうです。
理由を聞いて、私はなるほどと思いました。
まだ血のつながった親族が生きているのに、赤の他人が勝手にご先祖様を処分するなんて、そんな非情なことはできない…と。
そりゃ、そうです。
つまり、こういうことなんですよね。
家を管理している人と、仏壇を動かせる人が、別なんです。
だから、血のつながっているこちら側が動くしかない。お盆にお願いされたのは、そういうことでした。
「裏庭で燃やそうか」
家に帰ってから、母が兄弟たちと連絡を取りました。家と土地は弟さんたちにお任せするとして、仏壇と位牌だけは兄弟でなんとかしよう、と。
そこまではよかったんです。
ところが、母たちがこう言い出しました。
「裏庭で燃やしてしまおうか」
いやいやいや、待って。火事になるし、通報されるよ。
慌てて止めました。
昔はそういうこともあったのかもしれませんが、今それをやったら法律的にアウトです。それ以前に、80代が集まって庭で焚き火なんて、想像しただけで心臓に悪い。
調べてみたら、ちゃんと道がありました
というわけで、まずネットで調べました。
分かったのは、仏壇の処分を引き受けてくれる業者さんがあるということ。費用はだいたい3万円前後で、仏壇の大きさによって変わるようです。見積もりに来てもらう形が多いみたいでした。
ただ、私が思いついたのは、そこまでなんですよね。
実家の近くの仏具屋さんに電話してみるか、それとも、うちがお世話になっているお寺の住職さんに相談してみるか。その二択くらいしか出てきませんでした。
お寺に相談したら、快く引き受けてくださった
翌日、母が住職さんに相談してみました。
そうしたら、快く「お引き受けします」と言ってくださったそうです。
住職さんのお寺から母の実家までは、けっこうな距離があります。近所だからついでに、という話ではありません。それでも、行きますよ、と。
あれだけ「どうしよう」と言っていた母の声が、電話のあと、ずいぶん軽くなっていました。
この住職さんは、きっと仏の道をまっすぐ歩いている方なんだろうなと思います。
仏壇じまいの日
そして先日、その日を迎えました。
私は仕事だったので行けず、姉が母に付き添ってくれました。集まったのは母の兄弟たち——私から見れば叔父や叔母です。私は孫の立場なので、今回はお任せしました。
お経をあげていただいて、御本尊、脇侍、お位牌は住職さんが持ち帰ってくださったそうです。
夜、電話で様子を聞きました。無事に終わったよ、と。帰りにお寺へ寄って、お礼もしてきたそうです。
家と土地のことは、聞きません
仏壇のことは片づきましたが、家と土地はまだそのままです。
でも、そこは弟さんたちが決めることなので、こちらからとやかく聞くことはしません。
自分たちの持ち物でもないのに、家を見てくださっているだけで、ありがたい話ですから。
このご縁は、たぶん父がつないでくれた
このお寺とのお付き合いが始まったのは、父が亡くなったときでした。今年で11年になります。
父は、本当に突然亡くなりました。心の準備どころか、お墓をどこにお願いしたらいいのかも分からないまま、家の近所で必死に探して、お願いしたのがこのお寺でした。
あのとき決めたご縁が、11年経って、母の実家を助けてくれた。
そう考えると、これも父がつないでくれたご縁なのかな、と思います。
ご縁って、大事ですね。大切にしたいと思います。


コメント